筆で線を引く技術
お稽古では中学二年生から
筆で線を引いてから文字を書きます。
枠を作るのです。
これが最初は難しい。
筆が安定せず均一の線になりません。
なぜ線を引くのか。
私の師匠は学生のころ
戦時中で空襲警報が鳴る中
これが最後の作品になるかもしれない
と思いながら文字を書いていたそうです。
紙も貴重だったはずです。
そんな経験から「一枚清書」の精神で書くよう
後進の指導に罫線を引く技術を入れたのだと思います。
線の引いていない真っ白な紙だと
失敗しても次があると思って気持ちが緩むので
苦労して線を引いて、間違うことのできない貴重な紙にするのです。
お稽古で毎回線を引いていると
まるで職人のような線を引けるようになります。
毛の一本をコントロールするので
文字も上手になります。
一枚の紙、一本の線に想いを込める
そんな作品を目指して日々鍛錬しています。
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